バーンリーと縁が深いトッテナムのレジェンド、ラルフ・コーツが今回は電話でのインタビューに応じてくれた。
まず、「いつも私は忙しいよ」と、1973年のリーグ・カップ・ファイナルの決勝ゴールで有名な人気ウィングのコーツは電話越しにジョークで応対。週末に行われるスパーズとバーンリーの試合は、彼にとって2つの愛するクラブ同士の対戦カードであり、今年1月以降すでに3度目の対戦となる。1月にカーリング・カップの準決勝で対戦した両軍のプレミアリーグでの対戦は初であり、前回のイングランドのトップ・ディビジョンでの対戦も1976年まで遡ることになる。
英国北東部のダーラム州で生まれたコーツは1961年、15歳のときにバーンリーにアマチュアとして加入。1963年にプロ契約を結んでいる。バーンリーのホーム・スタジアムであるターフ・ムーアで活躍し、1971年にホワイトハート・レーンに高額の移籍金で活躍の場を移すまでにイングランド代表として2キャップを記録。1971年から78年までトッテナムに在籍し、その間248試合に出場し23ゴールを記録。前述の通り1973年のリーグ・カップと1972年のUEFAカップのタイトル獲得に貢献している。
この2つのクラブが、彼のキャリアにおいてとても重要な場所であることは言うに及ばず。1960年代前半の強豪スパーズを客観的に語れるレジェンドの一人コーツは、バーンリー16歳の頃の思い出を鮮明に記憶している。
「グランド・スタッフとしてバーンリーに加わり、ウェンブリーで行われた1962年のFAカップ決勝にも(チーム・スタッフとして)参加したよ。もちろん、あの時点でその後に起こることなど想像すらしなかったね。あの当時のスパーズについての思いとしては、とにかくファンタスティックなチームだということ。スパーズが3‐1で勝利した素晴らしい決勝戦だった。(試合後に)チームが宿泊先ホテルに戻った時に、ビル・ニコルソンとダニー・ブランチフラワーがホテルにやって来たことを覚えている。我々もFAカップを掲げる彼らを暖かく祝福したんだ。みんなが、立ち上がって拍手を贈ったあの光景は本当に素晴らしいものだった。両チームの互いの尊敬の念は立派だったし、あの雰囲気を私自身も堪能したんだ。まだ16歳だったけどね。両チームの対戦は、互いに積極的な姿勢で攻撃的なものだった。まだバーンリーにいた頃に4‐4の試合や、4‐2の試合は2度も記憶している。ターフ・ムーアで7‐2で勝利したこともあったね」
「1962年のファイナルを観ていたとき、もちろん私はバーンリーを応援していたし、バーンリーこそが私のクラブだった。まだいちグランド・スタッフに過ぎなかったけど、スパーズ戦を生で観たけど、スパーズの選手たちは私が想像した以上に凄かったよ。まさかあの時に自分がスパーズでプレーすることになるなんて思いもしていなかったけど、時が過ぎ、自分の実力を高めていった後に、あの移籍が実現した。U‐23イングランド代表で極東(東アジア)への遠征に参加しているとき、ビル(ニコルソン)があの代表チームの監督だったから、彼のことは良く知っていたんだ。本当に魅力的な方だよ。とても尊敬していたね。その遠征から1シーズン後。バーンリーは、資金を必要としており、私にトッテナムへの移籍を考えるように告げてきたんだ」
その時に、FAカップ後のバーンリーの宿泊先ホテルに現れたビル・ニコルソンのことを思い浮かべたか、との質問に対しコーツは、「もちろん、何度か頭に浮かんだよ」と笑顔で答えている。
「バーンリーの監督だったジミー・アダムソンは選手たちに向けてスピーチをしていた。今でも記憶に鮮明なジョークがあるね。ビルとダニー・ブランチフラワーがやってきたときにジミーが言ったのさ。2人が食事の席にやってきた。ダニーは当時ウィータビックス(英の食品メーカー)の宣伝にやっていたから、ジミーは『あぁ、、、。もちろん我々はウィータビックスのコース・メニューを今夜、食べるつもりだよ』とジョークを飛ばしたんだ。面白かったね。そこで、ジミーはスピーチを中断してビルとダニーを歓迎し、一同も立ち上がって拍手を初め、互いの健闘を讃えあった。両クラブの友情は本当に素晴らしかったよ。近年の試合では、こんな光景は起こりえないと思うね」
まだ、バーンリーの1軍でのキャリアをスタートさせる前の両クラブの思い出を語るコーツは、続けて選手としての今シーズンのトッテナムについて語ります。
「良いスタートを切れているね。スパーズは最近2試合で躓いているが、相手はユナイテッドとチェルシーという強豪2つだ。バーンリーもホームでは全勝で、すでに強豪も打ちのめしている。この2つのチームが好調なのは、私にとって喜ばしいことだよ。本当に素晴らしいね。どちらのスタジアムに行っても私は暖かい歓迎をいつも受けている。最近は、両方のスタジアムに良く足を運んでいるんだよ。スパーズがターフ・ムーアで対戦したときも、来賓として迎えられる名誉を授かったし、ホワイトハート・レーンの試合でピッチに迎え入れられた時も、スタンディング・オベーションだった。両クラブ共にファンは私を大歓迎してくれる。スパーズ・ファンはいつだってファンタスティックさ。トッテナム時代は、本当に輝かしい時間だった。デイブ・マッカイ、ダニー・ブランチフラワー、ジミー・グリーブスがいて、私はただただ彼らに従うまでだったね。何も考えずに、いやもちろん希望はあったけど、自分が彼らに追いつこうなんて考えたことすらなかったよ」
ラルフ。あなたの名前も、偉大なるレジェンドとして刻まれていますよ。